PAJメールマガジン

第7号 2010年11月16日発行

パラリンピアンから健常者まで(ドイツ車椅子バスケ事情)

日本パラリンピアンズ協会 事務局 金子恵美子

 

皆さま、こんにちは!

 

日本パラリンピアンズ協会事務局のサポートをしております、
金子恵美子です!

 

私は普段、公益社団法人東京都障害者スポーツ協会で働いて
いるのですが、その他にNPOを立ち上げ、車椅子バスケに
どっぷりかかわっております。

 

そんなわけで、今日はちょっと趣向を変えて、海外の車椅子
バスケ事情について書かせていただきたいと思います。

 

私の親友の日本人女性は、もう10数年ドイツに住んでいます。
学生時代はリハスポーツを学び、プレイヤーとしてもコーチ
としても車椅子バスケを続けてきました。

 

障害はありません。

ドイツでは、障害の有無、男女問わず、すべてミックスで
車椅子バスケがプレイされています。

 

女子は持ち点がマイナス1.5点となるハンデが与えられ
ますが、健常者は特に区別がされません(車椅子バスケは
選手に1点から4.5点までの持ち点がつけられます)。

 

その結果、各地域でチームが組みやすくなり、今や1部リーグ
から7部リーグまであるような地域があるほどで、さらに、
ホビーリーグ(趣味のリーグ)という名前で、入れ替え戦なども
ない、本当に楽しむためだけのリーグも存在するほど競技人口が
増え、チームの選択肢も増えてきました。

 

日本ではなかなか見られない脳性まひのプレイヤーや、シニア、
ジュニアの選手もたくさんプレイしています。

スタートをしやすい環境があるから、ということが言えると
思います。

 

1部リーグには、世界のトッププレイヤーたちがプロとして
集まっています。

 

私の友人が所属するケルンのチームには、今シーズン、
「車椅子バスケのマイケル・ジョーダン」と呼ばれたカナダの
スーパースター、パトリック・アンダーソンが加入しました!

このチームでは、毎年シーズンインの際、「キックオフイベント」
として、二日間の大会を開催するのですが、この大会がとても
興味深いのです。

 

二つのブロックで形成された大会なのですが、
ひとつは、ドイツだけでなく、近隣国のトップチームを呼んで、
多くのパラリンピアンが競い合うブロック、

そしてもうひとつは、脳性まひの選手やシニア、ジュニアの選手も
いるブロック。

こんな光景はなかなか見られないのではないでしょうか。

 

トップレベルの選手たちが集まっているだけでなく、どんなに
へたくそでも障害が重くてもスタートできる入り口があるドイツ。

そんなドイツを象徴するような大会だなぁ、と、毎回この大会に
行くたびに、思うのです。

 

より多くの人がスポーツを楽しめる環境、「パラリンピックを
目指したい!」ひとも、あるいは「ただ楽しみたい」ひとも、
それぞれの思いに合わせてスポーツを続けられる環境が
つくれるよう、これからも仕事をしていこう!と日々思っています。

 

さて、最後に情報提供です。
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下記の通り「2011年日本臨床スポーツ医学会公開シンポジウム」
が開催されます。
詳しくは、日本障害者スポーツ協会のサイトをチェックしてみてください!
http://www.jsad.or.jp/news_files/news2010.htm

 ■日時:2011年1月22日(土) 午後2時~5時
 ■場所:戸山サンライズ「大研修室」 
     東京都新宿区戸山1-22-1
     地下鉄東西線「早稲田駅」下車 徒歩約10分
 ■主催:日本臨床スポーツ医学会
 ■プログラム
 司 会(敬称略)
 陶山哲夫(国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学 分野長
 /日本障害者スポーツ協会医学委員長)
 
 講 師(敬称略)
 ①「アスリートの体力向上方法とメディカルサポート
   (陸上競技を含む)」
 田島文博(和歌山県立医科大学リハビリテーション医学 教授
      /日本障害者スポーツ協会医学副委員長)
 
 ②「車いすバスケットボールの競技力向上」
 和田野安良(茨城県立医療大学医科学センター 教授
       /日本障害者スポーツ協会医学委員)
 提言:岩佐義明(日本車椅子バスケットボール連盟
         全日本男子監督)
 
 ③「バンクーバー・アイススレッジホッケー競技
   ・銀メダルのサポート」
 成田寛志(登別厚生年金病院 院長
      /日本障害者スポーツ協会医学委員
      /日本アイススレッジホッケー協会医学担当理事)
 
 ④「パラリンピック選手へのトレーナー活動の経験より」
 門田正久(日本障害者スポーツ協会障害者スポーツトレーナー部会長)
 
 ⑤「アスリートの心理的サポート」
 荒木雅信(大阪体育大学大学院スポーツ科学研究科 教授
      /日本障害者スポーツ協会科学委員長)
 
 ⑥「日本における障害者のサーベイランスと次世代アスリートの育成」
 大久保春美(日本障害者スポーツ協会技術委員長)
 
 ⑦「パラリンピック選手の強化体制と今後の課題」
 中森邦男(日本パラリンピック委員会事務局長)
 
お申込み・お問合わせ先
「日本臨床スポーツ医学会公開シンポジウム」準備事務局
〒104-8172 東京都中央区築地1-13-1
株式会社アサツーディ・ケイ メディカル事業室内
FAX:03-3547-2914

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10月23日にデサントホール(東京・目白)で開催されたTOL
フォーラム2010にて、パラリンピアンから斎藤あや子さんが
表彰されました。斎藤さん、おめでとうございました。
斎藤さんはバンクーバーはカーリング、北京はアーチェリーで
出場されています。次のパラリンピックも出場を目指し、
練習されているそうです。当日は共に表彰されたマラソンの
高橋尚子さん、TOL会長の橋本聖子さんとのトークショーで
大切にしている言葉、夢などを語りあい、会場はおおいに
盛り上がりました。
PAJからは理事の佐藤真海さんと副会長の大日方が出席しました。
PAJは今後もTOLなどオリンピアンとの連携交流を進めていきます。

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2010年10月14日、一般財団法人日本スポーツ仲裁機構の主催に
よる第7回スポーツ仲裁シンポジウムが開催され、パネリスト
としてPAJの佐藤理事が出席しました。「アンチ・ドーピング
活動と仲裁による紛争解決」をテーマとした本イベントの概要を
以下に抜粋します。

■組織的なドーピングが行われている国々があるため、
スポーツ組織だけでなく、政府も一緒になって活動している。
鈴木文部科学副大臣はWADAの アジア代表の理事であることも
分かりました。
■日本は薬剤師にドーピングの知識を学ばせることなどを
取り組みはじめるなど、先進的であり、アジアの中心で
あること。ドーピングの検体数は増えているのに、日本人が
摘発された件数が一昨年10件以上、昨年3件、今年は今の
ところ2件と着実に減ってきており、JADAの普及も功をそうし、
ジュニア層への教育も世界をリードしている。
■居場所情報の提出方法は常に改善に努めており、トップ
アスリートには大きな心理的な負担をしいることとなる
ドーピングテストではあるが、潔白を証明するため、
自分たちのスポーツが素晴らしいことを伝えるためにも、
正々堂々と受けてほしい。
■「トップアスリート」と「国内レベル」の選手の間で
サンクション(制裁)を分けるべきかどうか、ということが
シンポジウム内で議論にあがった。

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オリンピアンを学校へ=JOCが「五輪教室」計画

 日本オリンピック委員会(JOC)は15日、東京・
味の素ナショナルトレーニングセンターで、五輪と
パラリンピックに出場経験のある選手や元選手を対象にした
「オリンピアン研修会」を開催した。 日本のオリンピアンを
今年中に都内の小学校などに講師として派遣して「JOC
オリンピック教室」を開催し、体験談などから五輪に
かかわる精神を広めるのが狙い。五輪運動戦略ワーキング
グループのチーフを務める元マラソン選手の瀬古利彦さん
は「まず都内で開催し、全国に広げていきたい。中学、
高校生も対象にしていきたい」と語り、各地の教育委員会
などと手を組んで事業を進める意向。 研修会には競泳
男子背泳ぎの古賀淳也(スウィン埼玉)ら現役選手のほか、
ノルディックスキー複合で活躍した荻原健司、次晴さんの
兄弟ら引退選手も参加して熱心に耳を傾けていた。(時事通信)

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