PAJメールマガジン

第8号 2010年12月1日発行

大きくなったら何になる?

日本パラリンピアンズ協会 事務局 伊藤数子

 

みなさま、こんにちは。事務局を担当しております伊藤数子と
申します。ご縁あって、こうして関わらせていただいていること、
とても光栄に思います。
 
私は所属するNPO法人STANDで、主にウェブを使って障害者
スポーツの情報を配信しています。競技の生中継「モバチュウ」や
スポーツとしての視点で捉えた「挑戦者たち」などです。
 
最近は子どもたちに情報を伝えることが急務だと感じています。
ある日STANDにかかってきた電話で強く思ったのです。それは、
ジャパラ水泳大会のビデオを送ってほしいというお申し出でした。
我々の中継を職場で見てくださったのです。そして、「初めて
見ました。あんまり速いのでびっくりした」とのことでした。
 
「パソコンがないので、家では見ることができない。でも、下肢に
障害のあるわが子にどうしても映像でみせたい」と仰るのです。
「息子に水泳をさせたい、というのではないんです。でも、同じ
障害のある人がこんなに速く泳いでいるところを見せたら、何か
スポーツがしたいって思うんじゃないかと。そしたら私はどこに
だって連れて行ってあげたい」と。強い母の願いでした。
 
東京新聞に「大きくなったら何になる?子どもの夢」という
タイトルの特集がありました。小学1年生に将来就きたい職業に
ついてアンケートしています。男の子の第1位はスポーツ選手、
女の子の第7位もスポーツ選手です。子どもたちはアスリートに
憧憬の念を抱いているのです。これは障害のない子どもたちの
お話です。

 

もし、障害のある子どもたちに同じアンケートをとったら、上位に
スポーツ選手は挙がってくるでしょうか? きっと、いえ、決して
ありません。障害者のスポーツの情報が少ないからです。

障害者スポーツにどんなものがあるのか、どんなにかっこいいのか、
の情報があまりにも少ないからです。子どもも親御さんも周辺の
人たちも、どんなスポーツがあるか知りません。同じ障害がある人が
アスリートとして活躍していることを知りません。だから、障害の
ある子どもの「将来なりたいもの」にスポーツ選手はないのです。

子どものころ、隣に住む高校生のおねえさんが剣道を習っていました。
庭で竹刀を振る姿がとてもかっこよく、憧れていました。
テレビや新聞でたくさんのスポーツを目にすることができました。
子どもの私はいろんなスポーツを見て、選ぶことができました。
やってみることができました。アスリートを夢見ることもできました
(もちろん、なれませんでしたが!)。それはスポーツの情報に
囲まれているからです。

 

障害のある子たちに、障害者スポーツを知ってもらいたいと心から
思います。こんなこともできる、こんなにエキサイティングだ、
やってみたい、将来選手になりたい、と心躍らせてもらいたい、
と思います。

 

障害のある子も、溢れるようなたくさんのスポーツの情報の中に
いて、やりたいことを選んで挑戦できる、楽しめる、そういう環境を
つくっていきたい、と考えています。


パラリンピアンのみなさんの活躍を伝えたい、私の中ではその
かっこよさを子どもたちに見てほしい、という思いもあるのです。
とにかくたくさんたくさん伝えていけるように、これからも
活動してまいります。

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日本パラリンピアンズ協会
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