PAJメールマガジン

第26号 2011年9月1日発行

ランニングが私と福島県を結びつけてくれた

日本パラリンピアンズ協会 理事 福留史朗
(シドニー・アテネ/陸上競技)

 

 PAJ会員の皆さんこんにちは。福留史朗です。

 

 私は8月20日21日と10年ぶりに福島県へ出かけました。これは福島県障がい者スポーツ協会、増子さん(PAJ会員)からPAJに対し全国障害者スポーツ大会に出場する福島県陸上チームの指導依頼を受けてでした。

 

 福島県には裏磐梯でクロスカントリースキーに何度か訪れたことがありました。郡山駅に私を出迎えてくれたのは長年の友人で福島県障がい者スキー協会長、斎藤さん、福島県障がい者スポーツ指導者協議会長、若松さんでした。

 

 私は到着後すぐに車で津波の被害が大きいいわき市近郊の海岸部に向かい地震、津波の被害の様子を見ました。2000年に鳥取県西部地震で震度6の地震を体験し地震の怖さは判っているつもりの私でしたが津波の怖さは体験がなくなぎ倒された防波堤、2階まで骨組だけとなった民家を見た時にはその惨状に言葉が出ませんでした。

 

 震災から5カ月が過ぎ震災直後に比べると「がれきは少なくなっている。」と若松さんが説明してくれました。しかし、広い空き地に積まれている「がれきの山」を見た時「がれきが無くなるのはいつだろうか。がれきが無くなった時から本当の復興が始まるのでは。」と思いました。また、原発から30キロエリアに近づいてみました。目が不自由な私には周囲状況は見えませんが人の気配が無いことは体で感じました。

 

 翌日は全ス大会に出場する選手の指導に会津若松市から田村市陸上競技場に移動しました。天候は雨で少し肌寒さを感じました。練習会場に着いて自己紹介を済ませ、練習に入りましたが、その間にスタッフはグラウンドの放射線量を測定していました。放射線量が多かった場合は外での練習は中止です。放射線量の測定は1時間おきに行うとのことで、原発事故の厳しい現状を見ることができました。

 

 私が指導した選手は中距離の6名(内1名女性)の特別支援学校中・高校生でした。演習前にランニングの基本姿勢、基本動作、呼吸方法、重心の位置などについて説明しましたが初めてこのようなな話しを聞くスタッフ、選手が多かったようでした。トラック5000m走がこの日のメニューで一緒に走りながら選手にアドバススを送りました。日頃から大人の選手40名を指導していることもあり指導に戸惑いはありませんでした。苦しい練習を最後まで粘り強く走る姿が印象的でこの粘り強い県民性が1956年ボストンマラソン優勝山田敬三選手、東京オリンピックマラソン銅メダル円谷幸吉選手、北京オリンピックマラソン代表佐藤敦選手そして箱根駅伝を沸かせた今井正人選手、柏原純一選手などの名選手を輩出したのだと思いました。

 

 練習を終え大粒の汗を顔に浮かべながら笑顔で「ありがとうございました。」と挨拶をしてくれた彼らの充実した表情が心に強く残りました。短い時間のお付き合いでしたがランニングが私と福島県を結びつけてくれたと思いました。

 

 地方のスポーツ協会の大きな事業は全スポ選手強化、派遣です。その選手の中には素晴らしい才能を持った選手が多くいます。しかし、地方協会、競技団体とJPC、日本障協、中央競技団体との関わりが薄く全スポが有望選手発掘の場となっていないのではと思うのは私だけでしょうか。今回の福島県訪問でもう一つ感じたことは、地方の若い選手、指導はパラリンピアンの訪問を待っているのではないかでした。

 

 最後にこのような機会を与えてくださった福島県障がい者スポーツ協会、指導者協議会、選手の皆さんに心から感謝をします。10月山口県でお会いしましょう。ありがとうございました。


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≪事務局より≫

■【情報】 9月13日(火)東京都主催、「2020年オリンピック・パラリンピック招致」最初のイベント
?東京ビッグトーク?石原知事と議論する会
「2020年東京オリンピック・パラリンピック招致に向けて」
http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2011/08/22l8p300.htm


■【報告】 8月29日(月) 河合会長、大日方副会長、根木副会長の3人が東京都庁を訪問し、スポーツ振興局長、2020年の招致担当の方々と話をしてきました。PAJに対し「アスリートが積極的に招致の意義を発信していってほしい」ということをお願いがありました。我々としては前回よりも積極的に招致活動に協力していく意志を伝えてきました。そして、前回以上にパラリンピアンがあらゆる場、面で招致活動に関われるようにしていただきたいことを要望してきました。


■【報告】 8月30日(火) 河合会長、根木副会長が笹川スポーツ財団(以下SSFと表記)を訪問しました。今夏にSSFが障害者スポーツへの提言をまとめました。その内容についての説明を受けました。こちらからも多くの課題を提示させていただき、有意義な話し合いとなりました。今後はPAJの発信力とSSFの研究とが有機的に連携していくことで「真のsports
for everyone」実現に向けて取
り組んでいくことを確認しました。

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